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先に結論を書きます。古民家の猫の脱走防止は、縁側と玄関でやることがまったく別物です。縁側は「猫が自分で開ける・自分で破る」が問題なので、対策はペット用の強い網戸への張り替えと、サッシを動かせなくする補助ロックの二段構え。玄関は「人が開けた一瞬にすり抜ける」が問題なので、対策は猫が飛び越えられない高さのゲートで、玄関と居住空間のあいだに部屋をもう一つ作ることです。ここを混同して、縁側にゲートを立てたり玄関の網戸だけ強化したりすると、お金と手間をかけたのに脱走ルートが残ります。我が家はこの区別に気づくまで2回、あんこに庭まで出られました。
この記事では、築古の古民家に住んで3年目、きなこ・あんこの2匹と暮らしている私が、実際に自分の家でやってみて効いた対策と、お金を出したのに効かなかった対策を、場所ごとに分けて書きます。現代のマンション向けに書かれた脱走防止記事がそのままでは通用しない理由――敷居がすり減っている、サッシが古い規格、玄関が土間で床の高さが違う、欄間という穴が天井近くに開いている――も、実物の構造に即して説明します。
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最初に全体像:古民家の脱走ルートと対策の早見表

古民家は開口部が多く、しかも一つひとつの開口部が現代住宅より大きいです。まずは家のどこが穴なのか、どの対策を当てるのかを一覧にしました。我が家で実際に対処した順番(上から優先度が高い順)に並べています。
| 場所 | 猫がどう脱走するか | 効いた対策 | 難易度 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|
| 縁側のガラス戸・網戸 | 前足で網戸を横にスライドさせて開ける/爪で網を破って穴を作る | ペット用の強い網に張り替え+サッシ用の補助ロックで網戸自体を動かなくする | 中(半日) | 最優先 |
| 玄関・土間 | 人が戸を開けた一瞬に、助走をつけて足元をすり抜ける | 土間の手前に高さのある突っ張り式ゲートを立て、二重扉にする | 中(1〜2時間) | 最優先 |
| 勝手口・裏口 | ゴミ出しなど「ちょっとだけ」開ける回数が多く、警戒が緩む場所 | 開き戸ならドアクローザーか、内側にワイヤーネットの簡易フェンス | 低〜中 | 高 |
| 欄間(らんま) | タンスや鴨居から飛び上がり、天井近くの開口部を通って隣室・外側へ | 木枠にワイヤーネットや金網をビス留めして塞ぐ | 中 | 中(猫が登る家なら高) |
| 床下・縁の下 | 畳下や押入れの床板の隙間から床下に入り、通気口から外へ抜ける | 床板の隙間を塞ぐ/通気口に金網を固定する | 中 | 中 |
| 天井裏・小屋裏 | 押入れの天袋から天井裏に上がり、屋根の隙間へ | 天袋の点検口をビスか掛金で固定する | 低 | 中 |
| 来客・宅配の応対時 | 飼い主が玄関に気を取られている数十秒 | ゲートの運用ルール(応対前に必ず閉める)+宅配は置き配に切り替え | 低(習慣) | 高 |
この表で言いたいのは、脱走防止はグッズを一つ買って終わる話ではなく、家の開口部を一つずつ潰していく作業だということです。とはいえ全部を同時にやる必要はありません。我が家も3年かけて上から順に潰しました。まずは縁側と玄関の2か所、ここだけで体感的にはヒヤリとする回数が激減します。
1. 古民家の脱走リスクは、現代住宅と何が違うのか
「猫 脱走防止」で検索して出てくる記事の多くは、マンションや新築の戸建てを前提に書かれています。私も移住した当初はそれを読んで真似したのですが、古民家ではそのまま当てはまらない部分がいくつもありました。順に説明します。
縁側のガラス戸は、猫にとって「横にスライドするドア」
我が家の縁側は、南側に沿って部屋の端から端まで続くタイプです。ガラス戸が4枚並び、その外側に網戸が2枚。開口部の幅は人が両手を広げてもまだ足りないくらいあります。つまり、ここは壁ではなくほぼ全面が扉です。
問題は敷居です。築年数のある家の敷居は、長年戸を滑らせてきたせいで木がすり減り、溝が浅くなったり広がったりしています。我が家の縁側も、戸がスカスカで軽く動きました。人間にとっては「開け閉めが軽くて快適」なのですが、猫にとっては前足で押せば開く引き戸です。きなこは移住2か月目にはもう、網戸を自分で10cmほど開ける技を習得していました。網を破る力がなくても、開けられたら終わりです。
現代のサッシは気密パッキンが効いていて、猫の力では動かないことが多いです。ここが最初の大きな違いでした。「網戸は破られるもの」という前提だけで対策すると、破られずに開けられます。
古いアルミサッシは、市販ストッパーの規格に合わないことがある
網戸の対策で一番手軽なのはサッシ用の補助ロック(網戸ストッパー)です。ところがここで一度つまずきました。我が家の縁側のサッシは、購入した補助ロックの想定しているレールの形状と合わず、取り付けても手で押すとズレてしまったのです。古民家のサッシは後付けリフォームで入っていることが多く、規格が現行品と違うケースがあります。
対策としては、買う前にレールの断面と枠の幅を実測して、商品ページの適合条件と突き合わせること。それでも合わない場合は、サッシ用ではなく「レールに置くだけの突っ張り棒型」や、内側から木材を切って挟む方法に切り替えたほうが早いです。私は最終的に、ホームセンターで角材をレール幅に合わせて切ってもらい、網戸を開けられない位置に落とし込む形にしました。見た目は素朴ですが、これが一番確実でした。
玄関が土間だと、猫に「助走距離」を与えてしまう
古民家の玄関は、たたきの土間が広く、上がり框(かまち)を挟んで床が一段高くなっています。この構造が脱走に関して不利に働きます。
マンションの玄関なら、ドアから廊下までが短く、人の体が通路を塞ぎやすい。ところが土間は横に広いので、猫は人の脇をぐるっと回り込めます。しかも框から土間へは「飛び降りる」動きになるので、猫は上から加速して一気に出口へ向かえます。あんこに逃げられた1回目は、まさにこの形でした。宅配便を受け取ろうと戸を開け、振り返ったときにはもう土間を斜めに横切っていました。
だからこそ、玄関は猫を土間に入れないことが対策になります。戸のところで止めるのではなく、框より内側でもう一枚止めるという発想です。
欄間・天袋・床下という、現代住宅にはない穴
欄間は、部屋と部屋の境目の鴨居の上、天井との間にある装飾的な開口部です。家によっては格子や透かし彫りで、猫が通れる隙間が開いています。我が家は食器棚の上から欄間へ飛び移るルートがきなこに発見され、夜中に部屋を移動していることに気づいて塞ぎました。これ自体は屋外への脱走ではありませんが、「閉めたはずの部屋にいない」という事態は、脱走の初動対応を致命的に遅らせます。
床下も同様です。押入れの床板の隙間から床下に降り、基礎の通気口から外へ出られる家があります。床下はネズミ用の薬剤や配線がある危険な場所でもあるので、通気口の金網が破れていないかは移住直後に一度、懐中電灯を持って家のまわりを一周して確認しておくことをおすすめします。
2. 我が家で3年やってみた対策の「効いた/効かなかった」一覧
ここが、この記事で一番書きたかった部分です。脱走防止の記事は「こういうグッズがあります」で終わっているものが多いのですが、実際に古民家でやってみると、効くものと効かないものがはっきり分かれます。判定は我が家の2匹(きなこ・あんこ、どちらも成猫・運動能力は平均的)での結果です。
| やったこと | 場所 | 手間 | 結果 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| ペット用の強い網に張り替え | 縁側・各部屋の窓 | 半日(網戸4枚) | 効いた | 破られる不安が消えた。最初にやるべき対策 |
| 角材をレールに落とす自作ロック | 縁側の網戸 | 30分 | 効いた | 市販ストッパーが規格違いで合わなかった代替案 |
| ハイタイプの突っ張り式ゲート | 玄関(框の内側) | 1〜2時間 | 効いた | これを入れてから玄関でのヒヤリがゼロに |
| ワイヤーネット+突っ張り棒の簡易フェンス | 勝手口・キッチン | 1時間 | 条件付き | 体当たりされると倒れる。人の出入りが少ない場所限定 |
| 欄間を金網でふさぐ | 居間と隣室の境 | 1時間 | 効いた | 「部屋にいない」がなくなり、捜索が一瞬で済むように |
| 市販の網戸ストッパー(吸盤・両面テープ型) | 縁側 | 10分 | 効かなかった | 古いサッシの枠と形が合わず、押すとズレた |
| 低い(80cm前後の)ベビーゲート | 玄関 | 30分 | 効かなかった | 助走をつけて一発で飛び越えられた。高さが足りない |
| 「開けるときだけ気をつける」運用のみ | 玄関 | 0 | 効かなかった | 人間は必ず油断する。物理で止めないと意味がない |
| 猫よけスプレー・忌避剤を玄関に | 玄関 | 10分 | 効かなかった | 慣れる。そもそも外に出たい動機のほうが強い |
一覧にして改めて分かるのは、効かなかった対策はすべて「猫の気持ちに働きかけようとしたもの」か「高さ・強度が足りなかったもの」だという点です。脱走防止は説得ではなく物理です。ここを受け入れると、お金の使いどころがはっきりします。
3. 縁側・窓の脱走防止対策:破られない網と、動かない網戸

ペット用網戸への張り替えは自分でできる
標準的な網戸に使われている網は、猫の爪が引っかかると簡単に裂けます。我が家も移住1年目の夏、縁側の網戸に猫の頭が通るくらいの穴が開きました。幸いそのときは気づくのが早く外には出られませんでしたが、これがきっかけでペット用の強い網に張り替えました。
張り替えは、DIYに慣れていなくても半日あれば終わります。手順は次のとおりです。
- 網戸を外し、平らな場所(我が家は縁側の床)に寝かせる。
- 古いゴム(網押さえゴム)を端から引き抜き、古い網を外す。
- ゴムの太さを測っておく。ここを間違えると新しい網が固定できません。抜いたゴムを持ってホームセンターへ行くのが確実です。
- 新しいペット用の網を、枠より一回り大きく切って乗せる。
- ローラー(網戸張り替え用の道具)でゴムを溝に押し込みながら、四辺を順に固定する。
- はみ出した網をカッターで切り落とす。
ペット用の網は普通の網より厚く硬いので、溝に押し込むのに力が要ります。私は最初、ゴムの太さを一段細いものにしてしまい、網ごと外れてやり直しました。網が厚くなる分、ゴムは元より細いものが適合する場合と、そのままでいい場合があるので、必ず商品の説明を確認してください。作業には網戸張り替えローラーとカッターがあれば足ります。工具まわりについては田舎でのDIY初心者向けの電動工具・基本ツールの記事にまとめているので、これから道具を揃える方はそちらも参考にしてください。
張り替えの効果は、破れにくさだけではありません。網が硬くなることで、猫が体重をかけて押しても網がたわまなくなり、「押せば行けるかも」と猫が思わなくなります。きなこが縁側の網戸に前足をかける回数は、張り替え後にはっきり減りました。
網戸を「動かせなくする」ほうが本命
ただし、前半で書いたとおり、破られる以前に開けられる問題があります。強い網に替えても、網戸そのものが横に動くなら脱走は防げません。
対策は3つあります。
- 市販のサッシ用補助ロックを付ける。 手軽ですが、古いサッシでは形が合わないことがあります。買う前にレールの形と幅を測ってください。
- レールに角材や突っ張り棒を落とし込む。 網戸が開く側のレールに、開いてほしくない幅ぶんの棒を置くだけ。我が家はこれが最終解でした。ホームセンターで角材を必要な長さに切ってもらえば、工具も要りません。
- 網戸の召し合わせ部分に隙間ができないよう、モヘア(すき間用の毛のテープ)を貼る。 網戸を閉めても、古い建具だと縦の隙間が数センチ開いていることがあります。ここは子猫なら通れます。すきま対策の素材は古民家の隙間をふさぐグッズの記事で扱っているものがそのまま使えます。
なお、縁側全体を大きなネットやフェンスで覆う方法もありますが、我が家ではやっていません。縁側は猫にとって一番の日向ぼっこスポットで、そこを金網で囲ってしまうと家の良さが消えます。網戸を強くしてロックする、というやり方なら景色も風も残ります。
ガラス戸そのもののロックも忘れない
意外な盲点が、内側のガラス戸です。古い引き戸のクレセント錠は、長年の使用で緩んでいたり、そもそも掛かりが浅かったりします。我が家の1枚は、クレセントを掛けても戸を強く押すと数ミリ動きました。猫がそこに鼻を突っ込んで押し広げる、ということは起きませんでしたが、気持ちのいいものではないので補助錠を追加しました。サッシ用の補助錠は数百円から手に入るものがあり、ドライバー1本で付きます。
4. 玄関・土間の脱走防止ゲート:高さが全て

犬用・赤ちゃん用のゲートでは止まらない
最初に買ったのは、ホームセンターで売っていた腰くらいの高さのベビーゲートでした。結果は前述のとおり、あんこに一発で飛び越えられました。猫は助走なしでも自分の体高の数倍を跳べますし、古民家の玄関は土間まで見通しがきくので、猫にとっては「向こう側が見えている」=跳ぶ動機が十分にある状態です。
猫用として選ぶなら、天井まで届く突っ張り式で、飛び越えられる上端がないタイプ一択です。これを入れてから、玄関でのヒヤリはゼロになりました。3年間で一番「買ってよかった」と思っている対策です。
古民家で突っ張りゲートを立てるときの3つのコツ
ただ、古民家に突っ張り式を入れるには少しコツが要りました。
コツ1:天井高を必ず測る。 古民家は天井が高い家が多く、一般的な突っ張り製品の対応範囲を超えることがあります。我が家も玄関ホールの天井が高めで、対応高さの上限が大きい製品を探す必要がありました。メジャーで床から天井まで、設置予定の位置ちょうどで測ってください。部屋の中央と端で高さが違う家もあります。
コツ2:土間ではなく框の内側(床の上)に立てる。 土間のたたきは平らに見えて微妙に傾斜がついていたり、コンクリートが荒れていたりします。突っ張りの圧力が逃げるので、我が家は框より内側の、畳や板の間の上に立てました。床側が柔らかい場合は、下に厚めの板を一枚敷くと沈み込みを防げます。
コツ3:天井が竿縁天井(薄い板張り)なら当て板をする。 古民家の天井は、石膏ボードではなく薄い板を並べただけの構造のことがあります。そこに突っ張りの力をかけると板がたわむので、上側にも板を一枚挟んで力を分散させてください。私はホームセンターの端材コーナーの板を使いました。
ここまでやると、玄関は「戸」と「ゲート」の二重構造になります。宅配便や近所の人が来ても、ゲートを閉めてから戸を開ければいい。この安心感は、対策にかけた手間の何倍も返ってきました。
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ゲートを入れたあとに気をつけること
物理的に止められるようになると、今度は運用が甘くなります。我が家で決めたルールは次の3つです。
- 玄関に行くときは、用事の内容にかかわらず必ずゲートを閉めてから。「ゴミを出すだけ」が一番危ない。
- 宅配は基本的に置き配にする。対面受け取りの回数そのものを減らすのが、いちばん効く。
- 来客の予定があるときは、事前に猫を別室に入れておく。ゲートは扉を開けている時間があるので、来客中は二重に守る。
3つ目については、私は在宅フリーランスなので日中ずっと家にいますが、それでも打ち合わせで人が来る日は猫を作業部屋に入れています。在宅ワークの部屋づくりについては古民家で快適な在宅オフィスを作った記事に、猫との共存部分も含めて書いています。
5. DIY自作 vs 市販グッズ、どちらを選ぶべきか
ここが「徹底比較」の本題です。我が家は両方やったので、率直な比較を書きます。
| 比較項目 | 100均・ホームセンターでDIY | 市販のペット用ゲート・網戸 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 安い(材料費のみ) | DIYより高い |
| 強度 | 作り方次第。結束バンド頼みだと体当たりで歪む | 猫の体重・突進を想定した設計になっている |
| サイズの自由度 | 高い。変形した開口部にも合わせられる | 製品の対応範囲内に限られる(古民家では要確認) |
| 設置の手間 | 採寸・カット・組み立てが必要。半日〜 | 開封して突っ張るだけ。1〜2時間 |
| 人が通りやすいか | 扉を自作しないと、毎回またぐ・外すことになる | 扉付きで、片手で開閉できる製品が多い |
| 見た目 | 工夫しないと生活感が出る。木材を使えば古民家に馴染む | 白や樹脂の製品は古民家だと浮きやすい |
| 向いている場所 | 勝手口、キッチン、廊下の区切り、欄間など人の通行が少ない場所 | 玄関、階段下など毎日人が通り、失敗が許されない場所 |
| 我が家の判定 | 脇役として優秀 | 主戦力。玄関だけは必ず市販品 |
結論としては、毎日人が通る玄関は市販のゲート、通行の少ない場所はDIYという使い分けが現実的です。理由は単純で、DIYのフェンスは「毎回どかす」構造になりがちだからです。どかす手間があると、忙しい日に人間が必ずサボります。そしてサボった日に限って猫は外を見ています。
6. 100均・ホームセンターDIYの実際
ワイヤーネット+突っ張り棒の簡易フェンス
一番手軽なのがこれです。材料は100円ショップで揃います。
- ワイヤーネット(開口部の幅・高さに合わせて枚数を決める)
- 突っ張り棒2本(上下)
- 結束バンド
- ワイヤーネット用の連結ジョイント(あると仕上がりがきれい)
作り方は、上下に突っ張り棒を渡し、そこにワイヤーネットを結束バンドで固定するだけです。我が家は勝手口とキッチンの入口に使っています。30分ほどで完成します。
注意点が2つ。1つはワイヤーネットの網目です。目が粗いと、子猫や細身の猫は頭を入れて通り抜けます。頭が入れば通れる、が猫の基本なので、迷ったら細かい目のものを選んでください。もう1つは横方向の力に弱いことです。猫が正面から体当たりすると、突っ張り棒が回転してネットごと倒れます。我が家は突っ張り棒と柱を結束バンドでもう一段固定して、回転しないようにしました。
木材で作る、古民家に馴染む柵
もう少し本格的にやるなら、ホームセンターの角材とラティス(格子パネル)で柵を作る方法があります。我が家は縁側の一部、猫を出したくない裏庭側に、高さのある木の柵を立てました。
木材を使う利点は、古民家の中で浮かないことです。白い樹脂のゲートは機能的ですが、土壁と木の建具の中に置くとかなり目立ちます。角材に軽くオイルステインを塗るだけで、既存の柱の色にだいぶ寄せられます。私は塗装まで含めて週末1日で仕上げました。
木でやる場合の注意は、上端に足場を作らないことです。柵の上に幅のある板を渡すと、猫はそこに乗ります。乗られたら高さの意味がなくなるので、上端は細いまま終わらせるか、そもそも天井まで詰めてしまうかのどちらかにしてください。この「足場を作らない」は、猫の動線を考える上で家全体に効く発想で、古民家を猫に優しくDIYリノベーションした記事でも、逆に「登ってほしい場所には足場を作る」という形で同じ考え方を使っています。
失敗したDIY:突っ張り棒1本とネットだけの簡易柵
正直に書くと、最初に作ったのは突っ張り棒1本に園芸用のネットを吊るしただけのものでした。5分でできて、見た目にはそれらしい。結果は、あんこがネットの下からもぐって終わりでした。柔らかい素材は、猫が下から押し上げます。脱走防止の柵は、床との接地部分に隙間と柔らかさを残してはいけないというのが、この失敗から得た教訓です。
7. それでも脱走してしまったときの初動
対策をしていても、ゼロにはなりません。我が家も2回あります。どちらも数時間以内に戻ってきましたが、そのときに役立ったことを書いておきます。
まず家の中と、家のすぐ周りを探す
完全室内飼いの猫は、外に出ても遠くへは行きません。怖くて動けなくなり、家のすぐ近くの狭くて暗い場所に潜んでいることがほとんどです。我が家の1回目は、縁の下でした。2回目は、物置と塀のあいだの隙間です。
ですから初動は、遠くを探し回る前に、家の外周を一周して、低くて狭い場所を懐中電灯で照らすこと。縁の下、物置の下、車の下、庭木の茂み、積んである資材の隙間。古民家は敷地内にこうした場所が多いので、むしろ「どこに隠れそうか」をあらかじめ把握しておくと探す時間が短くなります。
そして、部屋の中にいる可能性も必ず先に潰してください。欄間の話で書いたとおり、古民家は猫が入れる場所が多く、「外に出た」と思い込んで探し回ったら押入れの天袋にいた、ということが起こり得ます。
マイクロチップと迷子札は、事前にしかできない
脱走してから用意できないものが2つあります。マイクロチップと迷子札です。マイクロチップは動物病院で装着でき、装着後は環境省のデータベースへの登録が必要です。迷子札は首輪に付けるだけですが、首輪自体がセーフティ(強く引くと外れる)タイプだと落ちることがあるので、両方あると安心です。
具体的な費用や手続きは自治体・病院によって違うので、かかりつけの病院で確認してください。私は保護猫を迎えたときに一緒に済ませました。猫を迎えたあとの備えという意味では、猫のペット保険が本当に必要かを検討した記事も、同じタイミングで考えることになる話だと思います。
留守中の脱走に気づけるようにしておく
在宅で仕事をしていても、買い物や打ち合わせで家を空ける時間はあります。我が家はペットカメラを入れていて、外出中でも猫がどこにいるか確認できるようにしました。脱走そのものを防ぐ装置ではありませんが、「いつからいないか」が分かるかどうかで、探し始める早さが変わります。留守番まわりの道具は猫の留守番中の安全を守るグッズをまとめた記事に詳しく書いているので、そちらもどうぞ。
8. 脱走したがらない猫にする、という別方向の対策
物理対策が主役なのは変わりませんが、副作用の少ない補助として「そもそも外に出たい気持ちを減らす」というアプローチがあります。我が家でやっていることを挙げます。
- 窓辺に安全に日向ぼっこできる場所を作る。 縁側のガラス戸の内側に台を置き、そこで外を見られるようにしました。外の情報は手に入るが、出られはしない、という状態です。
- 縦の運動量を確保する。 古民家は天井が高いので、キャットタワーや棚を使って上下の移動距離を稼げます。運動が足りている日は、明らかに玄関への関心が薄いです。
- 去勢・避妊をする。 発情期の外に出たい欲求は、物理対策で抑え込むには強すぎます。獣医師と相談してください。
- 暑さ・寒さで家が不快にならないようにする。 古民家は夏暑く冬寒いので、猫が快適な場所を求めて外に出たがることがあります。夏の対策は猫の暑さ対策グッズの記事にまとめました。
誤解のないように繰り返しますが、これらは物理対策の代わりにはなりません。「満足しているから出ない」は、玄関が開いた一瞬には通用しない理屈です。あくまで補助として考えてください。
9. 場所別・優先順位つき実行プラン
最後に、これから対策する方向けに、我が家の経験をもとにした進め方をまとめます。全部やろうとすると疲れて途中で止まるので、順番が大事です。
| 順番 | やること | 所要時間の目安 | 効果の実感 |
|---|---|---|---|
| 1 | 家の開口部を全部数える(窓・戸・勝手口・欄間・通気口) | 1時間 | どこが穴か分かるだけで動きが変わる |
| 2 | 玄関にハイタイプの突っ張りゲートを設置 | 1〜2時間 | 大(ヒヤリがゼロに) |
| 3 | 縁側・よく開ける窓の網戸をペット用に張り替え | 半日 | 大(破られる不安が消える) |
| 4 | 網戸のロック(市販ストッパーか角材)を追加 | 30分 | 大(自分で開けられなくなる) |
| 5 | 勝手口・キッチンに簡易フェンスをDIY | 1時間 | 中 |
| 6 | 欄間・天袋・床下の点検口を塞ぐ | 半日 | 中(捜索が楽になる) |
| 7 | 迷子札・マイクロチップ・ペットカメラを整える | — | 万一のときの保険 |
1番の「開口部を数える」を最初に置いたのには理由があります。我が家は、ゲートを買ってから「そういえば勝手口も開けるな」と気づき、網戸を張り替えてから「欄間から隣の部屋に行ける」と気づきました。買い物より先に採寸と棚卸しをしたほうが、結果的に安く済みます。
よくある質問(FAQ)
Q. ペット用の網戸に張り替えれば、網戸ストッパーは要らないのでは?
A. 両方必要です。強い網は「破られること」を防ぎますが、「猫が網戸を横にスライドさせて開けること」は防げません。特に古民家は敷居がすり減って戸が軽く動くので、開けられる側のリスクのほうが高いことがあります。我が家のきなこは、網を破る前に開ける方法を覚えました。網の強化とロックはセットで考えてください。
Q. 突っ張り式のゲートは、土間のある古民家の玄関でも立てられますか?
A. 立てられますが、土間(たたき)の上ではなく、上がり框より内側の床の上に立てることをおすすめします。土間は水勾配で微妙に傾いていたり表面が荒れていたりして、突っ張りの圧力が逃げやすいためです。また古民家は天井が高いことが多いので、設置予定の位置で床から天井までをメジャーで実測し、製品の対応高さの範囲に入っているかを購入前に必ず確認してください。天井が薄い板張りの場合は、上側に当て板を挟んで力を分散させると安心です。
Q. 100均のワイヤーネットで作った柵は、猫の体当たりに耐えますか?
A. 場所によります。我が家では、人の通行が少ない勝手口やキッチンの入口では問題なく機能していますが、玄関のように猫が本気で突破しようとする場所では歪んだり倒れたりしました。特に弱いのが、突っ張り棒が回転して柵ごと倒れるパターンです。突っ張り棒と柱を結束バンドで固定して回転を止めると、かなり持ちます。ただし、毎日人が通る要所は市販の猫用ゲートにしたほうが確実です。
Q. 欄間や天袋まで塞ぐ必要がありますか?
A. 屋外に直結していないなら緊急度は下がりますが、塞いでおくと脱走時の捜索がとても楽になります。「部屋を閉めていたのに猫がいない」という状況は、外に出たのか家の中にいるのか分からず、初動が遅れます。我が家は欄間にワイヤーネットを木枠にビスで留めて塞ぎました。1か所あたり1時間もかかりません。なお、押入れの天袋から天井裏に上がれる家は、屋根の隙間から外へ出られる場合があるので、こちらは優先度が上がります。
Q. 猫が脱走してしまいました。まずどこを探せばいいですか?
A. 遠くへ行く前に、家の中と家のすぐ外周を探してください。完全室内飼いの猫は外に出ると怖くなって動けなくなり、家の近くの「低くて狭くて暗い場所」に潜むことがほとんどです。縁の下、物置の下、車の下、庭木の茂み、資材の隙間を懐中電灯で照らして確認します。我が家の2回はどちらも敷地内で見つかりました。並行して、家の中(押入れ、天袋、家具の裏)も必ず確認してください。「外に出た」という思い込みで探し回るのが一番時間を無駄にします。
Q. 猫よけスプレーや忌避剤を玄関に置くのは効果がありますか?
A. 我が家では効果がありませんでした。数日で慣れますし、そもそも外に出たいという動機のほうが強いからです。脱走防止は、猫の気持ちに働きかける対策ではなく、物理的に通れなくする対策で組むのが確実だというのが3年やってみての実感です。
Q. 記事の中のリンクはアフィリエイトですか?
A. はい。記事冒頭に記載のとおり、アフィリエイト広告を含みます。紹介しているのは我が家で実際に使っている、または検討した上で選んだものです。価格や在庫、対応サイズは変動しますので、購入前に必ず商品ページでご確認ください。
まとめ:縁側は「開けさせない」、玄関は「入らせない」
長くなったので、要点だけもう一度。
- 古民家の脱走防止は、縁側と玄関で対策がまったく別。縁側は網の強化+網戸のロック、玄関は天井まで届くゲートで二重扉にする。
- 古民家特有の落とし穴は、すり減った敷居・規格の合わない古いサッシ・土間の助走距離・欄間や床下。現代住宅向けの記事のままでは塞ぎきれない。
- 効かなかったのは、低いベビーゲート・忌避剤・気をつけるという運用だけ。人間は必ず油断するので、物理で止める。
- DIYは通行の少ない場所、市販ゲートは毎日通る玄関。どかす手間がある対策は、いつか必ずサボられる。
- 買う前に、家じゅうの開口部を数えて採寸する。これが結局いちばん安上がり。
古民家は、風が通って日当たりがよく、猫にとっては本来とても良い家です。ただ、そのまま暮らすには開口部が多すぎます。逆に言えば、縁側と玄関の2か所を押さえるだけで、家の良さを消さずに安全を作れます。きなこもあんこも、今は縁側のガラス戸の内側で一日じゅう外を眺めていますが、そこから先へは行けません。その状態を作るまでに私がやった試行錯誤が、同じように古民家で猫と暮らす方の役に立てばうれしいです。

