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結論、都市ガスとプロパンガスでは「1㎥あたりの熱量」が約2.2倍違うので、まったく同じ暮らしをしても検針票の使用量(㎥)は、プロパンのほうが半分以下の数字になります。つまり㎥の数字を横に並べて「うちは少ない/多い」と判断すること自体が間違いです。比べるなら、プロパンの㎥に約2.2を掛けて都市ガス換算にしてから。そして請求額を左右しているのは使用量ではなく「1㎥あたりの単価」のほうです。この記事では、その換算のしかたと、引っ越しのときに「使用量は減ったのに請求は増えた」が起きる仕組みを、都市ガスの実家からプロパンの古民家へ移った実体験で整理します。
この記事を書いた人|ゆう(nekoice.net 筆者)
25歳・築古の古民家に移住して3年目。猫たちと暮らす在宅フリーランスエンジニアです。実家は都市ガスの地域で、いまの家は導管が来ていないプロパンガス。両方の検針票を見てきました。移住した最初の冬、都市ガス時代の感覚のまま検針票を見て「使用量は減っているのに請求は上がっている」と混乱したのが、この記事を書いたきっかけです。この記事に出てくる熱量や平均使用量は、すべて公開されている数値と、そこから私が計算した値です。自分で作った数字はありません。
まず結論|同じ暮らしでも、プロパンの㎥は都市ガスの半分以下になる
都市ガスとプロパンガスの使用量が違う理由は、生活スタイルでも節約意識でもありません。ガスそのものの濃さ(熱量)が違うからです。
都市ガスとして一般家庭に供給されているガスは、ほとんどが「13A」という種類で、標準熱量は1㎥あたり45MJです。対してプロパンガス(LPガス)は1㎥あたり約99MJ。同じ1㎥でも、プロパンのほうが2倍以上のエネルギーを持っています。
| 比較項目 | 都市ガス(13A) | プロパンガス(LPガス) |
|---|---|---|
| 1㎥あたりの標準熱量 | 45MJ | 約99MJ |
| 都市ガスを1としたときの比 | 1.0 | 約2.2倍(筆者計算) |
| 同じ量のお湯を沸かすのに必要な体積 | 基準 | 約45%で済む(筆者計算) |
| 結果として検針票に出る㎥ | 大きい数字になる | 小さい数字になる |
出典:都市ガス13Aの標準熱量45MJ/㎥は各都市ガス事業者が供給約款等で公表している標準熱量。プロパンガスの約99MJ/㎥は一般に公表されているプロパンの標準的な発熱量(およそ24,000kcal/㎥)。比率と体積の割合は上記の数値から筆者が計算。
「約45%で済む」というのは、1 ÷ 2.2 ≒ 0.45 という単純な割り算です。都市ガスで月20㎥使っていた家庭が、まったく同じ生活のままプロパンの家に引っ越すと、検針票の数字はおよそ9㎥前後まで下がります。
ここで多くの人がやってしまうのが、「使用量が半分になった=節約できている」と勘違いすることです。私がまさにそれでした。移住してすぐの検針票を見て「都市ガスのときより少ないじゃないか」と安心し、そのあと届いた請求額で固まりました。減っていたのは体積の数字だけで、使っているエネルギーは1㎥も減っていなかったのです。

なぜ1㎥あたりの熱量が違うのか(中身が別のガスだから)
そもそも都市ガスとプロパンガスは、名前が似ているだけで中身が別の気体です。ここを押さえると、使用量の話も料金の話も一本の線でつながります。
都市ガスは天然ガス(メタンが主成分)
都市ガス13Aの主成分はメタンです。海外から液化天然ガス(LNG)として運ばれてきたものを気体に戻し、地中に埋めた導管を通って各家庭へ届きます。空気より軽いので、万一漏れたときは天井近くにたまります。ガス警報器が天井付近に付いているのはこのためです。
プロパンガスは石油ガス(プロパンが主成分)
プロパンガス(LPガス)の主成分はプロパンで、常温でも比較的簡単に液体になる性質があります。だから金属のボンベに液体のまま詰めて、トラックで各家庭へ運べます。導管が来ていない地域でも供給できるのはこの性質のおかげです。こちらは空気より重いので、漏れると床付近にたまります。
我が家の古民家にも、勝手口の外にボンベが2本立っています。3年住んでいると、配送の方が来てボンベを交換していく音で「そろそろ次の請求が来るな」と分かるようになりました。都市ガスの実家では一生味わわない感覚です。
| 項目 | 都市ガス(13A) | プロパンガス(LPガス) |
|---|---|---|
| 主成分 | メタン(天然ガス) | プロパン(石油ガス) |
| 届き方 | 地中の導管 | ボンベをトラックで配送 |
| 空気との重さ | 軽い(上にたまる) | 重い(下にたまる) |
| 供給できる範囲 | 導管が通っている地域のみ | 導管が無くても供給できる |
| 料金の決まり方 | 事業者ごとの料金メニュー(比較的横並びになりやすい) | 自由料金制(会社ごとに大きく違う) |
| ガス機器 | 13A用 | LPガス用(ノズルが別。そのままでは使えない) |
表の最後の行は引っ越しのときに効いてきます。コンロや給湯器は、都市ガス用とプロパン用で部品が違います。見た目が同じでも、ノズル(火が出る穴の部品)の大きさが変わるので、そのまま持って行くと使えません。私も実家から使い慣れたコンロを持って行こうとして、これで諦めました。引っ越しのときは、ガス機器が対応しているかを先に確認してください。古民家へ移ったときの初期費用は古民家移住の初期費用と月の生活費を全公開にまとめています。
世帯人数別の使用量を、都市ガス換算で並べてみる
ここからが実用パートです。プロパンの平均使用量と都市ガスの平均使用量は、そのまま並べても比較になりません。そこで、プロパンの数字に約2.2を掛けて「都市ガスだったら何㎥ぶんか」に揃えてみます。
| 世帯人数 | プロパンの月平均使用量 | 都市ガスに換算すると(×2.2) |
|---|---|---|
| 1人・2人暮らし | 6.5㎥ | 約14.3㎥ぶん |
| 3人暮らし | 8.9㎥ | 約19.6㎥ぶん |
| 4人暮らし | 11.3㎥ | 約24.9㎥ぶん |
| 5人暮らし | 11.7㎥ | 約25.7㎥ぶん |
出典:プロパンの月平均使用量は日本エネルギー経済研究所・石油情報センター「プロパンガス消費実態調査」(1年間の使用量から算出した1ヶ月あたりの平均)。都市ガス換算の列は、その数値に熱量比2.2を掛けて筆者が計算した参考値。
参考までに、都市ガスの二人暮らしの平均使用量は月およそ23㎥とまとめられていることが多いです。上の表の二人暮らしの換算値(約14.3㎥ぶん)と比べると、都市ガスの世帯のほうが多く見えます。
ただし、この差を「プロパンの家庭のほうが節約している」と読むのは早いです。理由が2つあります。
- プロパンの調査は「1人と2人」をまとめた区分なので、二人暮らし単独ならもう少し多く出るはずです。
- プロパンの地域は暖房に灯油を使う家が多い。寒冷地ほどガスは給湯とコンロ中心になり、暖房ぶんがガスの数字に乗りません。
つまり、統計どうしの比較は「だいたいこのくらいの桁」をつかむためのもので、自分の家の良し悪しを判定する道具ではありません。世帯人数別の目安と、平均の正しい読み方はプロパンガスの平均使用量、二人暮らしは月6.5㎥が目安で詳しく書いています。

「使用量が減ったのに請求が増えた」が起きる仕組み
都市ガスの地域からプロパンの地域へ引っ越した人が、ほぼ全員ぶつかるのがこれです。私の場合はこうでした。
- 検針票の使用量(㎥)が、実家にいた頃より明らかに小さい数字になっている
- それを見て「プロパンって意外と使わないんだな」と安心する
- 請求額を見ると、実家のガス代より高い
種明かしをすると、①は熱量の違いによる見かけの減少で、実際に使ったエネルギーは減っていません。そして請求額は「基本料金 + 1㎥あたりの単価 × 使用量」で決まるので、体積が小さくなったぶんは1㎥あたりの単価が高いことで打ち消され、さらに単価の差で上回るのです。
ここで大事なのは、プロパンの1㎥が高いこと自体は当たり前だということです。エネルギーが2.2倍詰まっているのだから、1㎥の値段が2.2倍でも「同じ」です。問題になるのは、そこからさらに上乗せされているかどうか。
覚えておく式:プロパンの1㎥は、都市ガスの約2.2㎥ぶんに相当する
→ プロパンの従量単価が、都市ガスの従量単価の2.2倍を大きく超えているなら、それは「プロパンだから」ではなく「その会社の単価が高い」ということ。
プロパンガスは自由料金制で、同じ地域・同じ使用量でも会社によって単価が違います。都市ガスのように公表された料金表と見比べて「高いですね」と言える仕組みが整っていないぶん、契約したときの単価のまま何年も気づかずに払い続けている家庭が珍しくありません。私もその一人でした。適正価格の考え方はプロパンガスはなぜ高い?適正価格の目安と、高いままにしない方法にまとめています。
自分の検針票を都市ガス換算する3ステップ
手元に検針票(ガスの請求書)を用意してください。やることは3つだけです。
ステップ1:使用量に2.2を掛けて、都市ガス換算の㎥を出す
検針票の「今月の使用量」が6㎥なら、6 × 2.2 = 約13.2㎥。これが「都市ガスの家庭なら何㎥使ったことになるか」です。都市ガスの世帯の話を聞いたり、ネットの平均値を見たりするときは、必ずこの換算後の数字で比べてください。
ステップ2:実質の従量単価を計算する
検針票に1㎥あたりの単価が書かれていないことがあります。その場合は次の式で出せます。
実質の従量単価(円/㎥) =(請求額 − 基本料金)÷ 使用量(㎥)
※消費税や原料費調整額の扱いは会社によって異なるため、あくまで目安です。
ステップ3:その単価を2.2で割って、都市ガスと同じ土俵に乗せる
ステップ2で出た単価を2.2で割ると、「都市ガス1㎥ぶんのエネルギーを買うのに、いくら払っているか」が出ます。この数字なら、都市ガスの従量単価とそのまま比べられます。
| ステップ | やること | 分かること |
|---|---|---|
| 1 | 使用量 × 2.2 | 都市ガス換算の使用量。使いすぎかどうかの判定に使う |
| 2 | (請求額 − 基本料金)÷ 使用量 | 自分の家の実質的な1㎥あたりの単価 |
| 3 | ステップ2の単価 ÷ 2.2 | 同じエネルギー量あたりの値段。都市ガスと直接比べられる |
私がこれをやってみて分かったのは、使用量そのものは特に多くなかったということでした。冬に増えてはいましたが、季節を考えれば普通の範囲。請求額を押し上げていたのは、基本料金と1㎥あたりの単価のほうでした。それに気づくまで、私はシャワーの時間を削る方向ばかり考えていたのです。
ガスを我慢して㎥を1割減らしても、請求が1割下がるわけではありません。基本料金は使っても使わなくてもかかるからです。逆に単価を下げれば、暮らしを一切変えずに請求だけが下がります。どちらを先に手当てするかで、労力あたりの効果がまるで違います。

使用量を減らす工夫が効く場合と、効かない場合
ここまで単価の話をしてきましたが、使用量の見直しが無意味なわけではありません。換算後の使用量が、同じ季節の目安を明らかに超えているなら、使い方に原因があります。
効きやすい:給湯の設定温度
給湯器の温度を高くしたまま蛇口で水を混ぜて使うのは、余分に沸かして冷ましているのと同じです。我が家は冬に上げた設定を春もそのままにしていたことがあり、季節ごとに戻すようにしました。
効きやすい:追い焚きの回数
二人暮らし以上で入浴の時間がずれると、冷めたお湯を沸かし直す回数が増えます。続けて入る、ふたをしておく。地味ですが冬の㎥にそのまま出ます。
効きにくい:コンロの火加減
家庭のガス使用量の大半は給湯です。コンロの火を細かく調整しても、湯船1回ぶんには届きません。やる価値はありますが、これで請求が目に見えて変わることは期待しないほうがいいです。
効かない:基本料金ぶん
基本料金は使用量に関係なくかかります。極端な話、1ヶ月ガスを一切使わなくても請求はゼロになりません。ここを下げられるのは契約の見直しだけです。
節約の具体策はプロパンガスを安くする方法5つ|平均料金と比べて我が家が削った額に、ガス以外も含めた光熱費全体の話は古民家の光熱費を半額にした方法にまとめています。
プロパンから都市ガスへ変えられる?現実的な選択肢
「そんなに違うなら都市ガスにしたい」と思うのは自然ですが、ここは正直に書きます。導管が来ていない地域では、都市ガスに変えることはできません。導管は事業者が敷設するもので、個人の希望で引いてもらえるものではないからです。田舎でプロパンなのは、多くの場合それが唯一の選択肢だったということです。
では打つ手がないかというと、そうではありません。プロパンは自由料金制なので、供給する会社を変えることで単価を下げられます。都市ガスに変えられなくても、プロパンのまま料金だけを適正に戻すことはできるわけです。
私も移住3年目に会社を変えました。手順と、実際に届いた請求の変化はプロパンガスの乗り換え・会社変更のやり方|料金を比較して月8,000円下げた実録に書いています。
ただし、動く前に次の2点だけは確認してください。
- 賃貸の場合:ガス会社は物件ごとに決まっていることが多く、入居者だけでは切り替えられません。まず大家さんや管理会社への相談からです。
- 設備の「無償貸与」がある場合:給湯器などをガス会社が無料で設置している契約だと、途中解約で残りの設備費用を請求されることがあります。契約書を確認し、相談の段階で先に伝えておきましょう。
\ 都市ガス換算にしても単価が高い、と分かったら /
プロパンガスの料金相談・切り替えなら「ガス屋の窓口」。自宅エリアの適正な単価の確認から、切り替え先の紹介まで無料で相談できます。検針票の使用量・基本料金・請求額の3つを手元に用意しておくと話が早いです。
※料金・サービス内容は公式サイトでご確認ください
よくある質問(FAQ)
Q. 都市ガスとプロパンガスで、使用量の単位は同じ㎥ですか?
A. 単位はどちらも㎥(立方メートル)で同じです。ただし中身のガスが違うため、1㎥に含まれるエネルギーが違います。都市ガス13Aが1㎥あたり45MJ、プロパンが約99MJなので、同じ「1㎥」でも約2.2倍の差があります。単位が同じだからそのまま比べられる、とはならない点に注意してください。
Q. プロパンの検針票が6㎥でした。都市ガスの家と比べるとどれくらいですか?
A. 6 × 2.2 = 約13.2㎥ぶんに相当します。都市ガスの平均使用量と比べるときは、この換算後の数字を使ってください。プロパンの6㎥をそのまま都市ガスの平均(二人暮らしで月およそ23㎥)と並べると、実際より4分の1近く少なく見えてしまいます。
Q. プロパンガスの1㎥が都市ガスより高いのは、ぼったくりですか?
A. 1㎥あたりの値段が高いこと自体は、エネルギーが2.2倍詰まっている以上は自然なことです。判断の基準は「都市ガスの従量単価の2.2倍」を大きく超えているかどうか。記事内のステップ3(実質単価 ÷ 2.2)で計算すれば、同じ土俵で比べられます。それでも高ければ、供給会社の単価を見直す余地があります。
Q. 都市ガスの家からプロパンの家へ引っ越すとき、コンロや給湯器はそのまま使えますか?
A. 使えません。都市ガス用とプロパン用ではガスの性質が違うため、ノズルなどの部品が別物になっています。無理に接続すると不完全燃焼や事故の原因になります。引っ越し先のガス種別を確認し、対応した機器を用意してください。
Q. 使用量を減らす節約と、ガス会社の見直しはどちらが先ですか?
A. 都市ガス換算した使用量が目安の範囲なら、会社(単価)の見直しが先です。基本料金は使用量を減らしても下がらないので、使い方の工夫だけでは請求が動く幅に限界があります。換算後の使用量が明らかに多いなら、まず給湯温度と追い焚きの習慣から見直してください。
まとめ|㎥の数字ではなく、エネルギーと単価で比べる
都市ガスとプロパンガスの使用量が違うのは、生活の差ではなくガスの濃さの差です。都市ガス13Aが1㎥あたり45MJ、プロパンが約99MJ。この約2.2倍という比を知っているかどうかで、検針票の読み方が変わります。
やることを3行にまとめます。
- プロパンの使用量に2.2を掛けて、都市ガス換算にしてから平均と比べる
- (請求額 − 基本料金)÷ 使用量 で、自分の家の実質単価を出す
- その単価を2.2で割って、都市ガスの単価と同じ土俵で比べる
この3つをやれば、「使いすぎなのか」「単価が高いのか」が分かれます。前者なら給湯の習慣を、後者なら契約そのものを見直す。原因に合った手を打つのが、遠回りに見えていちばん早いです。私は2年半、原因を取り違えたままシャワーの時間を削っていました。同じ回り道をしなくて済むように、まずは手元の検針票で一度だけ計算してみてください。
参考:都市ガス13Aの標準熱量45MJ/㎥(各都市ガス事業者が公表する標準熱量)/プロパンの標準的な発熱量 約99MJ/㎥(およそ24,000kcal/㎥)/日本エネルギー経済研究所・石油情報センター「プロパンガス消費実態調査」(世帯人数別の月平均使用量)/都市ガスの二人暮らし平均 約23㎥は各種比較サイトが資源エネルギー庁の統計をもとにまとめた値。熱量比2.2倍および換算値は、上記の公表数値から筆者が計算したものです(2026年9月時点)。
